[拡大]
台風ヨランダ(30号)で漁船が壊れるなど大きな被害を受けた漁師らを支援するため、フィリピンの農務省と漁業水産資源局(BFAR)が製造した小型ボート350隻の贈呈式が2月27日、ピサヤ地方レイテ州タクロバン市の港で開かれた。贈呈式には、ボート製造費の一部として200万円(87万3千ペソ相当)を寄付した日本の遠洋漁業団体も招待された。
今回贈呈されたボートは、2〜3人乗りの小型船外機付きボート200隻と手漕ぎボート150隻。それぞれ1隻約1万5千ペソ、同5,500ペソで製造されたという。
今回、寄付したのは一般社団法人・海外まき網漁業協会(本部・東京都中央区、中前会長)。台風の報道を聞くと、すぐ協会員全34社で寄付を集めた。2011年3月に発生した東日本大震災の際、フィリピンの漁業関係者からの寄付金が寄せられており、今回はその恩返しとして支援を決めたという。同協会だけでなく、フィリピンで操業している日系漁業関係者も寄付を寄せた。
2013年の漁獲は速報値で、数量が昨年比14%減の179千トン、金額が9%減の344億円でした。昨年前半2,350ドル/トンまで上昇したバンコック市場の冷凍かつお価格は、年明け1,300ドル/トンまでに下がっています。
海外まき網漁業の主要漁場を管理する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)では、昨年FADS(集魚装置)使用禁止期間が1ヶ月延長されましたが、我が国は、この延長の代替措置として年間使用回数を制限する方法を取りました。FADSを制限した操業が漁獲減少を招いた面もありますが、制限は上手く実施できメバチの混獲も相当削減することができました。日本の海まき漁業は、隻数制限を始め様々な委員会の規制等をほぼクリアし、果たすべき役割を実行できていると考えています。
また、本年は新たに資源評価が行われる予定であり、保存管理措置もこの評価に基づいて検討されると見られるので、適切に対応していく必要があると考えています。更に同条約では解放されているものの、PNA(*)の規定で操業できない、島嶼国のEEZに囲まれたポケット公海を有効活用できるように、PNAへの対応を働きかけていく必要があります。
南太平洋島嶼国の入漁料は大幅に値上りし、隻日数(*)の最低価格は2013年の5,000ドル/日から2014年には6,000ドル/日となり、また円安の下で燃油費の高騰が続いており、漁業経営は厳しくなってきています。漁場の確保は優先しなければなりませんが、魚価を踏まえた妥当な水準で合意できるよう、島嶼国と対話を続けて行くつもりです。高騰する燃油の対策としては、25年末の補正予算に盛込まれた省燃油事業を積極的に取入れ、経費削減に努めたいと思います。
海外まき漁業は、国内かつお節原料の市場を持っているという優位性を、今後とも生かしていく必要があります。和食の無形文化遺産登録により、だし文化が見直され、鰹節の需要が伸びることを願っています。このため、節産地と話合いを持ち、連携した取組が必要となっています。
国の漁船構造改革事業である「もうかる漁業推進事業」で、インド洋と太平洋を併用する国際的な標準船型(760トン型)を導入する計画が、昨年末の中央協議会で承認されました。中西部太平洋の操業条件が厳しくなる中で、インド洋漁場を見直し、リスクを分散する意味で是非成功させたいと思います。 この併用策のほか、太平洋東沖も有効活用し漁場を確保していく必要があります。また、中西部太平洋では島嶼国との合弁や貸渡などの操業を行っています。いろいろな操業形態によりリスクを分散して、操業の継続が図れるよう、引続き重要課題として取組みたいと思います。
*PNA:ナウル協定に加盟する、パプアニューギニア、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国、ソロモン諸島、パラオ共和国、キリバス共和国、ナウル共和国、ツバルの8ヶ国の共同体。